インタビュー:株式会社 Life Tech Robotics(東京都昭島市) |
■ | 移動ロボット×センサ技術で困り事を解消。新たな領域を切り開く |
近年、世界の産業用ロボットマーケットにおいて、トップクラスの存在感を示す日本メーカー。ロボットによる人手不足問題の軽減や、品質向上への貢献が期待されており、市場は拡大を続けています。
この流れに続くべく、わが国には多くのロボットベンチャーが登場しています。災害現場や農業、点検検査業務などで活用されるロボット開発に取り組む、株式会社 Life Tech Robotics (ライフ テック ロボティクス)もそのひとつです。東京都中小企業振興公社が運営する昭島市のインキュベーションオフィス・TAMAに拠点を構え、その恵まれた環境をフル活用して成長を続ける同社代表取締役の竹元 翔太氏にお話を伺いました。
自社所有のバンドソー切断機を設置
国立長野高専を卒業後、ロボットベンチャー2社を経て、2019年4月に株式会社 Life Tech Roboticsを創業した竹元氏。創業~3期目までは主に受託開発を続けてきました。
「災害現場で被災し、がれきの下に埋もれてしまっている人を見つけたり、被害状況をカメラでの目視やセンサを用いて確認したりするクローラ型(キャタピラー)ロボットや、果樹園で作物運搬を手伝う移動ロボットなど、荒地、凹凸路面、急勾配、砂地、湿地といった悪路や過酷な環境で走行できるロボットの研究・開発に携わってきました。また、東京都立産業技術研究センターの案内ロボットの実用化にも参画しました。こちらは、博物館や美術館での使用を目的としていて、タッチパネルのメニューから作品を押すとその作品の展示場所まで連れて行ってくれるインバウンド対応のロボットです」
インキュベーションオフィス・TAMAがある「産業サポートスクエア・TAMA」内の都産技研 多摩テクノプラザは、創業から間もない企業が購入するのは難しい高性能検査機器の利用や依頼実験などに応じてくれる非常に頼もしい存在です。
「インキュベーションオフィス・TAMAに入居していることは、お客様に安心感を与えていると思います。おかげさまで信頼を得やすく、多くの仕事をいただく機会にも恵まれ、創業からここまで会社を続けることができました」
Wi-Fi接続ですぐに走行可能。制御プログラムを自分自身の手でカスタマイズすることもできる。
4期目の2022年度からは、自社開発・共同開発事業にも力を入れていますと話します。
「そのひとつが『群ロボット』です。これは、ある作業を行う目的で、協調して動作する複数台のロボットを意味します。例えばファミリーレストランなどで見かける配膳ロボットは個々のロボットにPCが搭載され、別の場所にあるサーバーからロボットの管理を行う仕組みとなっており、非常に高価です。当社が開発を進めている走行ロボットは、個々のロボット搭載のPCを別のハードウェアに置き換え、それぞれをWi-Fiでつなぐことで、同様の仕組みを実現できるように進めています」
実現すれば、PC不要となることでコストを大幅に下げることが可能となり、省人化にも期待できます。各種工場やレストランなどへの導入が想定されますが、現状では開発研究用の走行ロボットの提供を行っているとのことです。
「また、当社の強みである、移動ロボットとセンサ技術をかけあわせた配管作業用のロボットの設計にも取り組んでいます。具体的には、老朽化したさまざまな配管の内部を自ら潜り込んで点検検査、補修する移動ロボットで、配管機材の取り扱い企業、補修作業に関係する企業と共同開発で進めていきたいと思っています。このロボットが実現すれば、省人化に加えて、工数削減、工期の短縮化も実現できると考えています」
株式会社 Life Tech Roboticsが入居しているインキュベーションオフィス・TAMAがある多摩地域は、元々、東京のモノづくり企業や研究開発拠点、大学などが集積している地域です。
また、オフィス足元の環境にも満足しているとのこと。インキュベーションオフィス・TAMAは同公社だけではなく、様々な支援窓口が同じ建物内に入っているため、インキュベーションマネージャーや弁護士、弁理士、行政書士などから有益なアドバイスをすぐにもらえるのも助かるそうです。さらに、最新の補助金や助成金、セミナー情報などがいち早く入手できることや、知財相談が可能な窓口が身近にあることも長所だと話します。
「今のところ、当社は設備投資の助成金は受けていないのですが、今後の事業展開次第で検討する時期も来ると思います。その際には今までのようにアドバイスをいただけることを期待しています」
「インキュベーションオフィス・TAMAの入居期間は最長5年で、弊社は2024年には退去する契約です。ただ、中小企業振興公社や都産技研を引き続き利用していきたいと考えていますので、現在のこの場所から離れていない場所に新たな拠点を構えたいと思っています」
取材日:2023年(令和5年)1月23日(取材時は、説明者は説明時のみマスクを外し、取材スタッフはマスクを着用しております。)
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会社名: 株式会社Life Tech Robotics
(ライフ テック ロボティクス) -
住所: 東京都昭島市東町3-6-1
産業サポートスクエア・TAMA
経営サポート館304号室 -
代表者: 代表取締役
竹元翔太
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設立: 2019年(平成31年)4月 -
事業内容: ロボット開発及び製造、ロボット関連部品の販売、AI、
IoT機器およびアプリケーション開発および運用 -
ホームページ: https://ltrobo.com/