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INTERVIEW vol.02

VAT株式会社
(東京都大田区)

世界№1真空バルブメーカーが語る、MFIPの優れた費用対効果

半導体、ディスプレイ、太陽電池などの製造技術には、超高精度の真空装置が必要です。この装置を構成する要素のひとつ「真空バルブ」は、真空状態を保持する「チャンバー」と、チャンバーから空気を排出する「ポンプ」間の圧力を遮断する重要な機能を担っています。スイスに本社を置き、世界29の国と地域で販売・サービス、研究などの拠点を展開するVATは、この真空バルブの世界トップメーカーです。

同社が日本支社を開設したのは1985年。2025年は節目の40周年となります。従前は兵庫県赤穂市~姫路市の技術サービスセンターと、神奈川県横浜市の営業・販売オフィスの2拠点体制でしたが、2021年11月に、現在の「MFIP(三井不動産インダストリアルパーク羽田)大田区産業施設」に拠点を統合しました。VAT株式会社の事業内容や展望、MFIP移転の理由、業務環境などを、VAT株式会社人事部部長の山口由美子氏に取材しました。

代表取締役社長 飯田克彦氏

人事部部長
山口由美子氏
「当社が入居している1階のユニットはトラックバースに隣接していてロジスティクスの面でも恵まれています」

世界シェア70%!半導体製造装置向け「超高真空バルブ」のパイオニア

まずは事業概要を見ていきましょう。VATは、1965年にスイスのザンクト・ガレン州で創業し、現在もそこに本社を置く世界最大の真空バルブメーカーです。ディスプレイ、太陽電池、光学、レーザー、医療技術、宇宙、高エネルギー用途の研究、開発、製造など多様な分野で同社製の真空バルブが採用されていますが、なかでも突出したシェアを誇っているのが、半導体製造装置向けの超高真空バルブです。

「私が入社した2020年頃の世界シェアは50%弱でしたが、2025年の現在は70%を超えています。主な納入先は、世界三大半導体装置メーカーといわれる『アプライド・マテリアルズ(米国)』『ラムリサーチ(米国)』、そして『東京エレクトロン』です。アジアでは日本のほか、中国、台湾、韓国、マレーシアなどに拠点があり、アジア地域の半導体装置メーカーに納入する超高真空バルブは、主にマレーシア・ペナン島にある工場で製造しています。日本支社では、国内顧客への技術支援やソリューション提案、製品の保守・修理などを中心に行っています」

また、VATの超高真空バルブは、世界最高性能の放射光を生み出すことができる日本国内の施設「SPring-8」(※)で使われている重要装置・加速器内部の超高真空状態の維持にも役立てられています。
※兵庫県・播磨科学公園都市にある大型放射光施設。「放射光」は、電子を光とほぼ等しい速度まで加速し、磁石によって進行方向を曲げた時に発生する、細く強力な電磁波のこと。SPring-8では、この放射光を用いてナノテクノロジー、バイオテクノロジーや産業利用まで幅広い研究が行われている

「今後も半導体を使った新製品や新技術は、半永久的に次々と生み出されていきます。それに伴って新たな半導体製造装置も必要になるため、必然的に新しい真空バルブのニーズも途切れず生じていきます。当グループは積極的に設備投資や研究開発を続け、超高真空ソリューションのリーディングカンパニーとして世界に貢献して参ります」

VAT製真空バルブの製品例 高精度、高耐久性、超清浄な真空を必要とする真空支援プロセス用のVAT製真空バルブの製品例(提供:VAT)
VAT本社工場 スイス、ザンクト・ガレン州 HaagにあるVATの本社工場(提供:VAT)

羽田空港近接、高コスパの新拠点で売上1.6倍、従業員数1.7倍に

次に、日本支社開設からおよそ35年続けてきた2拠点体制を1ヵ所に統合し、その場所としてMFIPを選んだ理由を伺いました。

「事業規模の拡大計画に伴って従業員数を増やすため、各拠点が手狭になるのが必至であったこと、別々だった修理センターと営業販売拠点をひとつにすることでシナジー効果に期待したことが統合の背景です。MFIP選定の決め手は、何と言っても羽田空港へのアクセスの良さですね。当社には海外から年間延べ約80名のグループ社員や顧客が訪れるため、空港アクセスの良さは必須条件でした。ちなみに成田ではなく羽田というのは、東京アドレスの世界的なネームバリューの高さが理由です。また、空の便だけでなく、品川や横浜方面への足回りも良く、新幹線利用が容易なこと、高速道路での車移動に便利なことも、このロケーションの長所です」

MFIPに移転後、技術サービスと営業販売が一体化したことで、双方向のコミュニケーションや顧客からの要望反映などが密にできるようになり、期待していたシナジー効果が生まれたとのこと。また、2020年1月に35人だった従業員数は2025年1月に60人に増加し、売上額は約1.6倍になったということです。

「広さが1,000㎡超あり、ゆとりをもって使える点が良いですね、ここに勤務している従業員60名のうち、約15名が製品の修理などを担当するエンジニアで、彼らは社内でなければ仕事ができないため基本的に毎日出社しますが、営業、サービス職は週2日出社であとはリモートか出張で不在にしているため、スペースがより広く感じられます。およそ3分の2は技術サービスセンター、3分の1は営業・販売のオフィスとしており、いずれも余裕ある空間です」

また、それだけの広さにも関わらず、家賃が非常にリーズナブルであることも大きな魅力であると山口氏。

「以前の2拠点、姫路と横浜の賃貸料の合計額と、MFIPの賃貸料はほぼ同じでありながら、広さは3倍になりました。しかも、先述したとおりのシナジー効果が得られているのですから満足しています。また、パーティションなどによるレイアウトの自由度も魅力ですね。当社はクリーンルームや品質検査室を設けたほか、オフィス、入出庫管理、在庫スペースなどを入居前、約3ヵ月かけて構築しました。スケルトンの状態で天井高が約5.5mあるので、修理などに必要な吊り下げ型の電子アームを設置できたのも良かった点です」

東京モノレール整備場駅徒歩3分の立地 2025年3月に青宙橋(あおぞらばし 写真左)が架けられた結果、MFIP(写真右奥)は東京モノレール整備場駅徒歩3分の立地となった

“技術サービスセンター”併設が可能な多機能型の産業施設

MFIPは火気厳禁で溶接機等の使用も不可ですが、VATではそのニーズがなく、特に問題はないとのこと。

「交通利便性に優れた都心部で1,000㎡超を確保でき、それでいてリーズナブルな賃貸料、しかも“技術サービスセンター”の併設も認められる多機能型の産業施設は非常に希少です。MFIPへの入居の最終決定はスイスの本社が行い、VAT独自のスタンダードを満たした場所ということでここが選ばれたのですが、確かにその判断は正しかったと思います」

ちなみに、MFIPから近接地の大田区産業プラザ(PiO)の大会議室が、これもリーズナブルな使用料で使えるのも恵まれているとのこと。特に、全従業員60名を集めて行う研修に適しているそうです。

MFIP5階のラウンジ MFIP5階のラウンジは入居企業の従業員に開放された憩いのスペース。窓からは羽田空港を離発着する飛行機の雄大な姿を楽しめる。予約制の会議室が隣接しており、VATはミーテイングなどでよく利用するという
現在入居企業募集中の空きユニット202 現在入居企業募集中の空きユニット202。床面積は1,124.70㎡
企業概要
会社名
VAT株式会社
住所
東京都大田区羽田旭町10番11号MFIP羽田1F 101
代表者
代表取締役社長 佐藤登志
設立
1985年(昭和60年)2月27日
事業内容
超高真空バルブの輸入販売、設置、メンテナンス
ホームページ
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