事業用地の探し方とは?探すときのポイントや流れも解説
事業用地の探し方

本記事は、東京都内で新たに事業用地の取得を検討している中小企業・個人事業主の方を主な対象としています。

新規事業の立ち上げや事業拡大を検討している経営者の方にとって、事業用地探しは重要な決断のひとつです。
しかし「どのような方法で探せばよいのかわからない」「適切な物件が見つからない」といった悩みを抱える方も少なくありません。
この記事では、事業用地の探し方から選ぶ際のポイント、契約までの流れまでを解説します。事業用地をお探しの方はぜひ参考にしてください。

1.事業用地とは?

事業用地とは?

事業用地とは、事業収益を得る目的で利用・所有される土地のことを指します。
住宅用地とは異なり、事業活動の拠点として重要な役割を担います。

具体的な用途として、工場、倉庫、配送センター、オフィスビル、商業施設、店舗などが挙げられます。
これらの施設は、それぞれ異なる立地条件や土地の特性を必要とするため、事業内容に応じた適切な土地選びが欠かせません。

また、事業用地の取得には、都市計画法、文化財保護法 、国土利用計画法 、工場立地法 など、計画段階から多くの法律が関わってきます。
これらの法令を正しく理解し、適切に対応することが、事業成功の重要な要素となります。
住宅用地と比較して、事業用地は専門的な知識が必要となる場面が多く、経験豊富な専門家のサポートが不可欠です。
とくに中小企業の場合、不動産取引の経験が少ない担当者が多いため、信頼できる相談先を見つけることが大切です。

2.なぜ事業用地が必要?

なぜ事業用地が必要

ビジネスの成長段階において、適切な事業用地の確保は、企業の発展を左右する重要な要素です。
販売業においては、顧客へのアクセスしやすさや商品の陳列スペース、駐車場の確保が売上に直結します。
とくに大型店舗を構える場合は、十分な広さと優れた立地条件が必要となるでしょう。

製造業では、生産ラインの効率化や物流の最適化を図るため、工場の規模に応じた広い土地が求められます。
また、原材料の搬入や製品の出荷を考慮した交通アクセスも重要です。

物流業の場合、配送センターとして機能する施設では、大型トラックが何台も乗り入れできる広さと、
高速道路や幹線道路へのアクセスが事業効率に大きく影響します。
さらに、事業を全国規模に拡大する際には、各地域の拠点として複数の事業用地を確保する必要があります。
このように、事業の種類や規模に応じて最適な立地と広さを持つ土地を見つけることが、企業成長の基盤となります。

3.事業用地の探し方

事業用地の探し方

事業用地を効果的に探すためには、複数の手段を組み合わせることが重要です。
それぞれの方法には特徴とメリット・デメリットがあるため、自社の状況に応じて最適な手段を選択しましょう。

➀インターネットで探す

インターネットで探す

インターネットを活用した事業用地探しは、手軽さと情報量の多さが大きなメリットです。
パソコンやスマートフォンからいつでもどこでも物件情報を検索できるため、初期の情報収集には最適な方法といえます。

ただし、インターネット上の情報は更新のタイムラグがあり、すでに契約済みの物件が掲載されている場合もあります。
また、詳細な条件や現地の状況を実際に確認する必要があるため、あくまで情報収集の第一歩として位置づけることが大切です。

さらに、膨大な情報から適切な物件を選別するには、ある程度の経験と知識が必要となるため、不動産取引に慣れていない方は注意が必要です。

➁不動産会社で探す

不動産会社で探す

不動産会社への相談は、事業用地探しにおいてもっとも確実性の高い方法のひとつです。
物件情報をリアルタイムで確認できるため、条件に合う土地が見つかった際の対応が迅速に行えます。

宅地建物取引士による専門的なアドバイスを受けられることも大きなメリットです。
法律関係の確認事項、契約条件の交渉、融資の相談など、個人では対応が難しい専門的な内容についてサポートを受けられます。

ただし、すべての不動産会社が事業用地の取引に精通しているわけではありません。
多くの不動産会社は主に住居用不動産を扱っているため、事業用地の専門知識が不足している場合もあります。

そのため、事業用地の取引実績が豊富な不動産会社を選ぶことが重要です。
工場、倉庫、店舗などの事業用物件を多く扱っている会社であれば、より適切なアドバイスと物件提案を期待できるでしょう。

③設計・施工会社で探す

設計・施工会社で探す

設計・施工会社に相談する方法は、土地探しから建築まで一貫したサポートを受けられる点が特徴です。
土地の条件と建築計画を同時に検討できるため、効率的な事業計画の策定が可能となります。

建築の専門家の視点から、地盤の状況、インフラの整備状況、建築基準法上の制限などを事前に確認してもらえるメリットがあります。
これにより、土地購入後に予期せぬ問題が発覚するリスクを軽減できます。

また、建築費用を含めた総合的な事業予算の算出も可能で、資金計画の精度を高められます。
とくに工場や倉庫の建設を予定している場合、専門的な設備や特殊な構造に対応できる会社を選ぶことが重要です。

④中小企業の支援団体に相談する

中小企業の支援団体に相談する

中小企業の支援団体への相談もひとつの方法です。
事業計画の策定や資金調達の相談も同時に行えるなど、総合的なサポートが期待できます。
また、自治体の助成金や補助金の情報も入手しやすいため、事業資金の負担軽減につながる可能性があります。

一方で、東京都企業立地相談センターでは、東京都の委託事業として、物件情報と支援情報をまとめて提供する総合的な相談窓口です。
1,000社以上の不動産会社に一斉照会を行い、幅広い選択肢のなかから最適な物件をご提案いたします。

また、公的機関としての信頼性と、専門アドバイザーによる質の高い相談サービスを提供している点も特徴です。
対面での相談にも対応しており、きめ細やかなサポートを受けられることも大きな魅力のひとつです。

サポート

東京都企業立地相談センターでは、企業立地を検討している事業者様のご相談窓口をご用意しております。ぜひお気軽にご活用ください。

⑤土地開発事業者に相談する

土地開発事業者に相談する

土地開発事業者(デベロッパー)は、未開発地や大規模開発用地の情報を豊富に持っている専門業者です。
街の再開発や商業エリアの開発に携わっているため、まとまった面積の土地や将来性のある立地の情報を提供してもらえます。

とくに製造業や物流業で大規模な施設を計画している場合、個人では入手困難な開発予定地の情報を得られる可能性があります。
また、インフラ整備が計画的に行われる開発地域では、電気、ガス、水道などの設備を効率的に整備できるメリットもあります。

4.事業用地を探すポイント

適切な事業用地を選ぶためには、多角的な視点からの検討が必要です。
購入後のトラブルや予期せぬ追加費用を防ぐため、以下のポイントをチェックしましょう。

①立地条件

立地条件

立地条件は、事業の成功を大きく左右する重要な要素です。
まずは、高速道路・幹線道路、最寄り駅やバス停などへの交通アクセスを詳細に確認する必要があります。

加えて、事業内容に応じた個別の条件確認も不可欠です。
たとえば、大型車両の出入りが必要な業種では、道路幅員や交差点の形状、橋梁の耐荷重などを調査しなければなりません。

商業施設や店舗の場合は、人通りの多さ、周辺の商業施設との相乗効果、駐車場の確保可能性なども重要です。
一方、製造業においては騒音・振動・臭気といった環境影響に配慮し、住宅地との距離や風向きなども検討すべき要素です。

さらに、都市計画法にもとづく用途地域の確認も欠かせません。
用途地域によって建築可能な建物が制限されるため、計画している事業が法的に許可されるかどうかを事前にチェックしておくことが重要です。

➁土地状況

土地状況

土地の状況は、建設コストや将来的なリスクに直結する重要な要素です。
とくに地盤強度は重要で、軟弱地盤の場合には地盤改良工事が必要となり、大幅な追加費用が発生する可能性があります。

また、土壌汚染の有無は、過去の土地利用履歴を調査することで把握できます。
ガソリンスタンド、工場、クリーニング店などが以前に存在した土地では、土壌汚染のリスクが高い ため、専門的な調査が必要です。

さらに、地中埋設物の確認も重要です。古い建物の基礎、地下タンク、配管類などが残っている場合、撤去費用が発生します。
また、埋蔵文化財包蔵地に指定されている場合は、開発前に届出が必要です。

地形の高低差や排水状況も調査対象です。低地にある土地では浸水リスクがあり、傾斜地では造成工事が必要となる場合があります。
境界確定の状況、隣地からの越境物の有無なども、将来的なトラブルを防ぐために確認しておくべき項目です。

③インフラの設備状況

インフラの設備状況

事業活動に必要なインフラの整備状況は、初期投資額と運営効率に直結します。
水道、ガス、電気、排水などの基本インフラが、事業規模に応じた容量で整備されているかを詳細に確認しましょう。

電力容量はとくに重要で、工場や大型店舗では一般的な住宅よりもはるかに大きな電力が必要となります。
既存の電力インフラが不足している場合、新たな引き込み工事や設備の設置が必要となり、高額な費用が発生します。
上下水道についても同様で、工場での大量使用や特殊な排水処理が必要な場合、既存設備の容量や処理性能を確認する必要があります。

また、通信インフラも現代の事業活動には欠かせません。
光ファイバーの敷設状況、携帯電話の電波状況、インターネット回線の品質などを確認しましょう。

これらのインフラが未整備の場合の整備費用も事前に算出し、総投資額に含めて検討することが重要です。

④購入予算

購入予算

事業用地の取得にかかる費用は、土地代だけではありません。
まず「仲介手数料」です。不動産取引において、宅地建物取引業者が宅地や建物の売買の仲介を行う場合、
依頼者から受け取ることのできる仲介手数料の額には、国土交通省によって上限額が定められています。

続いて「建築費用」です。
事業内容によって大きく異なりますが、工場や倉庫の場合は、一般的な住宅建築とは異なる専門的な工事が必要となるケースもあります。

既存建物がある場合は「解体費用」も重要です。建物の構造、規模、アスベストの有無によって費用は大きく変動します。
また、土壌汚染対策や地盤改良の費用は、事前の調査結果にもとづいて算出します。

不動産売買契約時の諸費用としては、印紙税、登録免許税、司法書士費用などがかかります。
また、毎年の固定資産税も運営コストとして考慮に入れる必要があります。

こうした費用を軽減するには、補助金や助成金制度の活用を検討するのも1つの方法です。
自治体によっては、企業誘致や雇用創出を目的とした支援制度を設けている場合があります。
依頼者から受け取ることのできる仲介手数料の額には、国土交通省によって上限額が定められています。

【料率計算表】

 200万円以下の部分  5.5%以内
 200万円を超え400万円以下の部分  4.4%以内
 400万円を超える部分  3.3%以内

出典:国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001750229.pdf


5.事業用地選びから契約までの流れ

事業用地選びから契約までの流れ

事業用地の購入プロセスを適切に進めるため、各ステップの目的と注意点を詳しく解説します。
計画的に進めることで、スムーズな土地取得が可能となります。

①土地購入の目的を決める

事業用地探しの第一歩は、購入目的の明確化です。
どのような事業を行い、どのような施設を建設するのかを具体的に設定することで、後の土地選びの基準が明確になります。

事業の業種、規模、将来的な拡張計画などもあわせて検討しましょう。
これらの要素は、必要な土地の面積や立地条件を決定する重要な要因となります。

➁事業計画の作成

事業計画は、土地探しの指針となるだけでなく、金融機関からの融資審査においても重要な資料となります。
収支シミュレーション、市場分析、競合分析などを含む詳細な計画書を作成しましょう。

立地による売上への影響、物流コストの変化、人材確保の容易性などを定量的に分析することが重要です。
これらの分析結果は、土地購入の予算設定や条件設定の根拠となります。

③専門家に相談する

専門家への相談は、適切な土地を効率的に見つけるための重要なステップです。
不動産会社、設計・施工会社、中小企業支援団体など、複数の専門家から意見を聞くことで、多角的な視点での検討が可能となります。

④紹介された土地を現地で確認する

事業用地の取得にかかる費用は、土地代だけではありません。
図面や資料だけでは把握できない重要な情報を得るため、現地視察は必須です。
立地条件、土地状況、インフラの設備状況で説明したチェック項目を、実際に現地で詳細に確認しましょう。
複数回、異なる時間帯に訪問することで、より正確な把握が可能となります。

⑤買付証明書を作成して提出する

購入意思を表明するため、買付証明書を作成・提出します。
この書面は法的拘束力 を持ちませんが、売主に対する真剣な購入意思の表明となります。

⑥事前審査を受ける

ローンを利用する場合、事前審査を受けます。
この審査は本審査の可能性を判断するもので、融資の可否や融資額の目安を把握することができます。

⑦売買契約を結ぶ

売買条件について合意が得られたら、不動産売買契約書と重要事項説明書の作成・確認を行います。
手付金の支払いは売買価格の10%程度が一般的です。

⑧本審査を受ける

融資の本審査は、事前審査よりも詳細な審査となります。
査期間が長い場合が多いため、余裕を持ったスケジュールを組むことが重要です。

⑨引き渡し

最終的な代金決済と所有権移転登記を同時に行い、土地が正式に引き渡されます。
法書士による登記手続き、各種届出の提出なども、この段階で完了させます。

  

まとめ

まとめ

事業用地を探す際は、適切な立地選定、詳細な現地調査、法的制限の確認など、 一つひとつのステップを丁寧に進めることが事業成功の基盤づくりにつながります。とくに中小企業や個人事業主の場合、不動産取引の経験が限られているため、 信頼できる専門家のサポートを受けることが重要です。

東京都企業立地相談センターは、東京都内で事業用地をお探しの皆様に向けた、信頼できる総合的な相談窓口として支援を行っています。

希望条件に合った物件情報を複数の不動産会社に一括で照会するサービスをはじめ、企業立地支援制度・産業振興施策の情報提供、さらに専門アドバイザーによる対面での相談対応など、多様なサポートをご利用いただけます。

登録している不動産会社は1,000社以上にのぼり、オンラインでの情報提供はもちろん、対面でのやり取りも可能です。東京都内での事業用地探しをご検討の際は、東京都企業立地相談センターまでお気軽にお問い合わせください。

※本記事は、店舗や事業用物件を検討する際の参考として、一般的な情報をまとめたものです。内容は法令・制度・物件条件等により適用が異なる場合があり、特定の結果や契約の成立を保証するものではありません。あらかじめご了承ください。 また、最新の法令・制度・手続等の詳細については、関係機関または専門家へ直接ご確認ください。